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【感想】学校嫌いで非行に走った側から読む『ケーキの切れない非行少年たち』

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Photo by Danielle MacInnes on Unsplash
この記事は約6分で読めます。

ニュース記事を読んだらすっごく気になったので買いました。タイトルもオビも、インパクトあるよね。

 

思考の歪みを修正し適切な思考を増やし、問題の改善を図る治療法のひとつ「認知行動療法」。

性加害者への治療に効果的な方法だが、認知機能が正常であることが条件。発達障害など、認知機能が弱い人への効果は証明されていない。

では、認知機能が弱い人はどうすればいいのか?そういった子らが向かう施設が、医療少年院―非行少年が収容される特別支援学校のような場所だ。

精神科医から法務技官(※少年鑑別所などへ配属される国家公務員)になった著者が見た、罪を犯すことになった子供たちの実情。問題提起だけでなく、ケア方法「認知機能強化トレーニング」も紹介されています。


現状、タイトル・画像情報が話題先行している気がしなくもないので、内容が気になっている方は積極的に本書を読んでほしい。

以下、印象的だった項目や気になった項目の感想。

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項目ピックアップ

Photo by Victor Garcia on Unsplash

わかっていない子供たち

「図形」が認識できない

やや複雑な図形を模写させる「神経心理学検査」。これは子供の視覚認知力などを確認するための課題だそう。

ある少年にテストしたところ、描かれた図形は模写ではなく「元の図形を歪ませたもの」だったそうです。

「三等分」に困る

一つの丸が書かれた紙を見せ『これはケーキです、三等分にしてください』と質問すると

「半分にした後に困る」「そもそも等分になってない」など、問題の意味をそもそも理解していない少年たちが出てきたそう。

驚くことに、この回答は小学生ではなく凶悪犯罪をした中高生たちだというのです。

性犯罪者は性癖が原因なのか?

被害者が被害者を作る

幼い子供を標的にした事件の加害者は、一般的に『性癖が異常なのでは?』というイメージを抱かれやすいです。しかし、実際はそうではないことが多いらしく。

ある医療少年院にて性非行少年と話すと、ほぼ例外なく「いじめの被害者」であったことが背景に浮かんできたという。つまり、いじめで受けるストレスが少年たちを加害者にさせてしまった―と。

勿論、ストレスは罪を犯していい理由にはならない。しかし一方的な攻撃により溜まり続けたストレスを、非行という行動にぶつけていたとしたら?

再犯防止としてやれる選択肢は、もっと広まってくるのではないでしょうか。

「ケーキの切れない非行少年たち」感想

Photo by Annie Spratt on Unsplash

世間に伝えたいことは大体タイトルに集約させているのかなと感じましたが、モヤモヤも若干残るかな。

まずは納得した部分について。

理解させる教育の限界

少年少女たちが過ごす医療少年院で行われる矯正教育も学校教育も、理解させることが目的。

例えば子供が「宿題をしない」とする。普通であればやる気がない子供だ!と思うかもしれないが、本当は「質問の意味も理解できない」状態であれば、向き合い方が全然違う。

社会も変える取り組みになる可能性だってあるのは、興味深かったですね。

変われる少年たちは何を知ったのか

全体的に問題提起が強めの本書で、キラリと光る項目。
(第7章 非行少年から学ぶ子どもの教育)

施設内で大きく変わっていった彼らのきっかけとは?様々な声が挙げられています。

読んでて涙が出ました。もう少し読みたかった(数ページしかない)というか、彼らたちの声を書籍化してほしいわ。買うから。

もっと広まれ!感情のペットボトル

専門教材を使わずに取り組める「認知機能トレーニング」が紹介されているのですが、そのひとつに“感情のペットボトル”という方法があります。

「うれしい」「さみしい」「こわい」「くるしい」など、人が抱く感情をペットボトルの内容物に見立てる方法。

これが面白い!

大人でもこの方法を見せたい人っているわ!!!笑

誰でも買える教材になれば、世の中にプラスになるんじゃないかな~。Youtuberとコラボして教材にしてみるとかいいんじゃない??(言うだけ自由)

認知機能云々抜きにして、これ子供の時に受けたかったな…。

対策のひとつとして触れられているので、この方法は本書ではなく別書籍の方が詳しいようです。


…とまぁ、色々興味深いことはありましたが、最後まで気になったのは非行少年たちの特徴を「障害」と意識し過ぎではないかという部分。

テーマ上そうした方が説明つくのかもしれませんが。

後天的な障害だってあるよ

少年たちの特徴って、脳の弱さと結論付けていいものなんだろうか。

著者は精神科医から法務技官になった方なので、そう判断する理由があるのかもわかりません。ただ、この内容が広まって「○○ができない=頭が弱い」という短絡的な誤解が生まれるのも気掛かり。

私は言動の背景には人格があり、人格の背景には過去の経験や感情があると思うのです。

本人が最初から持っている(先天的)というよりは、環境がそうさせている(後天的)ことも多いのではと感じます。大人も含めて。

でもそういった経験、環境は目に見えない。だから今わかっている情報から結論を作る。私はそこが消化不良。

自己評価も同様で『適切な自己評価は適切な対人関係から生まれる』とありますが、本人がどうであれ、自己評価なんて対人関係次第ですぐ歪みません??

…などと考え始めてしまい、反発心が止まりませんでした。

 

とまあ、ここが目に見えない現実の難しさなんですよね。

なんでこの表現にずっと違和感があるのか。私は非行少年たち側の人間だからだと思います。

いじめられる側で学校が嫌いだったし、非行にどっぷりだった時期もある。だからか、彼ら側に立って考えてしまう。

学校、家という1日を過ごす場所で問題があるのは、大人が捉える以上にストレス。今はネットの存在も大きいでしょうけど、両方にトラブルがあると基本的に逃げ場がない。

そういった状況が続くとストレスが続くわけですから、思考が止まっていくんです。どうでもよくなってくる。自分が。考えても無駄だから。

勇気を出して訴えても、親や先生に伝わらなかったり拒否される。すると、自分の行動は無意味なんだという刷り込みが入る。

そうなると更に追いつめられ…結果、非行に走りやすくなる。

非行に走るのもきっかけがある。最初から非行に走るわけではないんです。世間には色々言われるけれど、非行はそれまでの我慢の結果でもあるんですよ。

そんなわけで、著者は障害としていますがサインの方が近いこともあるよ!という話でした。


本書では度々「子供たちの想像力の弱さ」に触れていますが、一番想像力が必要なのは言うまでもなく子供たちを見る大人です。

向き合おうとするのと、向き合わないのは大きな違い。

相手の状況を想像する、そして相手の為にやれることを探す「頭の力」が求められているのではないだろうか。

∀`*)コメントする?

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