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【感想】非行に走った側から読む『ケーキの切れない非行少年たち』

4.0
漫画・書籍 趣味

ニュース記事を読み気になったので買いました。タイトルもオビも、インパクトあるよね。

タップで出るよ

認知行動療法」- 思考の歪みを修正し適切な思考を増やす、治療法のひとつである。

しかし、これは認知機能が正常であることが条件。発達障害など、認知機能が弱い人への効果は証明されていない。

では、認知機能が弱い人はどう治療するのか?そういった子らの施設が、医療少年院―非行少年が収容される、特別支援学校のような場所だ。

精神科医から法務技官(※)になった著者が見た、罪を犯すことになった子供たちの実情。問題提起だけでなく、ケア方法「認知機能強化トレーニング」も紹介されています。

※少年鑑別所などへ配属される国家公務員


オビに印刷された画像がひとり歩きしている気がしなくもないので、気になっている方は積極的に本書を読んでほしい。

以下、書籍に関する情報と、印象的・気になった項目の感想。

漫画連載もスタート

鈴木マサカズさんの作画により、ウェブ漫画サイト「くらげバンチ」にてコミック版の連載が開始されました。

現在二話まで配信されていますが、まだ何とも言えないなあ。原作を先に読まないと情報がとっちらかる印象があったけど。

にしても原作付きとはいえ、掲載情報から展開まで内容調整がめっちゃ大変そうな気がするね・・・。

項目ピックアップ

Photo by Victor Garcia on Unsplash
「図形」が認識できない

やや複雑な図形を模写させる「神経心理学検査」。これは子供の視覚認知力などを確認するための課題だそう。

ある少年にテストしたところ、描かれた図形は模写ではなく「元の図形を歪ませたもの」だった。

「三等分」に困る

オビにある例の画像のケースです。

一つの丸が書かれた紙を見せ『これはケーキです。三等分にしてください』と質問。すると「半分にした後に困った様子を見せる」「等分になってない」など、問題の意味をそもそも理解していない少年たちが出てきたそう。

更にこれらは、小学生ではなく(凶悪犯罪をした)中高生たちの回答だというのです。

被害者が被害者を作る

幼い子供を標的にした事件の加害者は、一般的に性癖異常というイメージを抱かれやすいです。しかし、実際はそうではないことが多いらしく―

ある医療少年院にて性非行少年と話すと、ほぼ例外なく「いじめの被害者」であったことが背景に浮かんできたという。

つまり、いじめで受けるストレスが、少年たちを「加害者」にさせてしまったとも考えられるのだ。

「ケーキの切れない非行少年たち」感想

Photo by Annie Spratt on Unsplash

著者が世間に伝えたいことは、概ねタイトルに集約させているのかなと感じます。

ただ、これから書いていきますが、モヤモヤも若干残るお話でした。

まずは納得した部分について触れます。

解釈で大きく変わる子供の行動

少年少女たちが過ごす医療少年院で行われる矯正教育も学校教育も、理解させることが目的。

例えば子供が、宿題をしないとする。普通であれば『やる気がない子供だ!』と思うかもしれないが、しないのではなく、できない状態であるサインかもしれない。

すると、その子に対しての向き合い方がを変えなきゃいけない。

「宿題をしない」という行動ひとつとっても、その奥に隠されている本音があるのかどうか。興味深かったですね。

変われる少年は何を知ったのか

本書の後半に【第7章 非行少年から学ぶ子どもの教育】という項目があります。

ここでは、施設内で過ごすことで大きく変わることができた少年たちの「きっかけ」についての声が挙げられています。

問題提起が強めの本書で、キラリと光る項目。読んでで泣きそうになった。

数ページの項目ですが、ここはもう少し読んでいたかった。彼らたちの声だけまとめたものを書籍化してほしいわ。買うからさ。

「感情のペットボトル」はもっと広まっていい

専門教材を使わずに取り組める「認知機能トレーニング」が紹介されていますが、そのひとつに【感情のペットボトル】という方法があります。

うれしい、さみしい、こわい、くるしいなど、人が抱く感情をペットボトルの内容物に見立てる方法。

これが面白い!大人だけどこの方法を見せたい人っているわ!!!笑

子供向けの教材ですが、Youtuberとコラボして教材にしてみるとかいいんじゃない?脳トレのように誰でも買える教材になれば、世の中にプラスになるんじゃない??(言うだけ自由)

管理人
管理人

子供の時に受けてたら感情の取扱いにうまくなれたかな・・・

本書では触れられている程度なので、詳しく知りたい方は別書籍を参考にしてみてくださいね。

詳細はこちらの書籍を

とまぁ、色々興味深いことはありました。

ただ、最後まで気になったのはやっぱり著者の前提だろうか。

特徴を「障害」と意識しすぎではないか

テーマ上、そう表現した方が本をつくりやすいというのはあるでしょう。しかし“元々”その特徴を持っていると結論付ける印象もあります。

著者は精神科医から法務技官になった方なので、そう捉える理由があるのかもわかりません。ただ、この内容が広まって「○○ができない=頭が弱い」みたいな、ある種の誤解が生まれるのも気掛かり。

私は言動の背景には人格があり、人格の背景には過去の経験・感情が関係していると思うので、元々あるという解釈が気になります。

本人が最初から持つ(先天的)というよりは、環境がそうさせた(後天的)ことも多いのではと。大人も含めて。そこが消化不良。

自己評価に関しての見解も同様。

『適切な自己評価は適切な対人関係から生まれる』とありましたが、本人がどうであれ、自己評価なんて対人関係次第ですぐ歪まねえか??

・・・などと考え始めてしまい、反発心が止まりませんでした。

とまあ、ここが人の難しさなんですよね。原因はひとつじゃなくて、色んなことが絡み合ってるから。


なんでこの前提に違和感がとまらないのか。価値観もあるんだろうが、私は割と非行少年たち側の人間だからだと思います。だから、個人的にはサインという解釈をしています。

私は普通に働けているけれど、学校は楽しくなんてなかったし、非行にどっぷりだった。だからか、つい彼ら側に立って考えてしまうんですね。

学校・家という大きな居場所で問題があるのは、強いストレスです。両方でトラブルが起きてしまうと、基本的に逃げ場がない。

結果、不良グループにいるほうが居場所になるので、非行に走りやすくなる。

非行に走るのもきっかけがあるのだ。世間には色々言われるけれど、それまでの我慢の結果が「非行」というだけだったりする。

障害とされちゃうと残念だな!という話でした。


本書では度々「子供たちの想像力の弱さ」に触れていますが、一番想像力が必要なのは言うまでもなく子供を見る大人たちです。

相手の状況を想像したり、相手の為にやれることを模索するといった“視点の力”が求められているのだろう。

気になる方はコチラからどうぞ

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